No.A091
年齢 | 36 歳 |
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性別 | 男 |
死亡年月日 | 1945/09/24 |
剖検年月日 | 1945/09/24 |
被爆距離 | 500 m |
被爆時地名 | 不明 |
出典:国土地理院の空中写真(1945-1950撮影)を加工して掲載
被爆状況
頭部の左側に挫傷がありました。前頭部には裂傷がありました。頭蓋骨を骨折しました。
症状の経過
宇品陸軍病院に入院した時、頭部の裂傷は5x10cm大であり、脳にも明らかな損傷がありました。
傷の化膿は死亡時まで続きました。
当時の記録からわかること
高度な栄養不良状態でした。
左前頭部の頭蓋骨には骨折がみられ、脳は圧迫されていました。硬膜と頭蓋骨の間に膿性の滲出液が認められました。
左肺下葉には顕著なうっ血があり、両肺上葉には小さな硬結が少数認められました。
心外膜や心内膜下に少数の点状出血が見られました。
両側の扁桃腺は腫大しており、左側には小さな壊死巣が見られました。
病理組織標本からわかること
精巣では精子形成がやや減少しています。
脾臓ではリンパ濾胞が軽度萎縮しています。
まとめ
肺には多巣性に好中球の高度な浸潤を伴う化膿性肺炎が認められます。細菌性肺炎と考えられます。前頭部の裂傷が化膿性炎症(髄膜炎)を併発しており、ここから細菌が血液中に侵入し、血行性に肺炎を来した可能性があります。
骨髄での造血の低下や脾臓でのリンパ濾胞の萎縮がみられ、これは放射線の影響と思われます。
直接の死因としては、化膿性肺炎や脳損傷、髄膜炎などの影響が大きいと考えられます。
- 作成日
- 最終更新日
- 2022/01/31