No.A088
年齢 | 23 歳 |
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性別 | 男 |
死亡年月日 | 1945/08/27 |
剖検年月日 | 1945/08/27 |
被爆距離 | 1000 m |
被爆時地名 | 基町(教育連隊) |
出典:国土地理院の空中写真(1945-1950撮影)を加工して掲載
被爆状況
軍人でした。屋外で被爆しました。
症状の経過
8月18日岡山陸軍病院入院時、体温は38.5℃、脈拍は90/分でした。後頭部、頚部、顔の左半分、左上肢及び両肩にやけどがあり、化膿していました。
8月23日に歯肉出血と下痢があり、体温は39.7℃に上昇、この高熱は死亡時まで続きました。
8月24日の白血球は1000/μlと減少していました。
8月25日に鼻出血がありました。8月27日には呼吸困難が出現し、その日に亡くなりました。
当時の記録からわかること
肺はいくらか浮腫性でしたが出血はありませんでした。
脾臓は通常より硬く、リンパ節の腫大は認められませんでした。
肝臓の表面に点状出血が散在していました。
胃や小腸、大腸に点状出血はみられませんでした。
皮膚表面に点状出血がみられました。
病理組織標本からわかること
脾臓はうっ血しており、リンパ濾胞は消失し、リンパ球は減少しています。
まとめ
骨髄は著しい低形成で、造血機能は低下しており、血小板の減少による出血傾向、好中球の減少による免疫力低下を引きおこしたと思われます。
脾臓でのリンパ組織の萎縮も放射線による影響と思われます。
両肺の急性うっ血水腫と肝細胞の小葉中心性壊死は急性循環不全(血圧が急激に低下し、さまざまな障害が起こるいわゆるショック状態)の存在を示唆します。
やけどが一部で化膿していたことから、菌血症の存在も示唆され、高熱が続いていたことからも敗血症性ショックの可能性が高いと考えます。
- 作成日
- 最終更新日
- 2022/04/21