No.A083
年齢 | 45 歳 |
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性別 | 男 |
死亡年月日 | 1945/09/13 |
剖検年月日 | 1945/09/14 |
被爆距離 | 不明 |
被爆時地名 | 不明 |
出典:国土地理院の空中写真(1945-1950撮影)を加工して掲載
被爆状況
カーキ色のコートとズボンを着ていました。
外傷はありませんでしたが、肩と足に重度のやけどを負いました。
症状の経過
やけどは治りかけていましたが、9月初めに傷口に感染が見られ、発熱、食欲不振、全身倦怠感を伴いました。上下肢に浮腫がみられました。
9月6日には点状出血が出現しました。歯肉出血や咽頭炎はありませんでした。
9月10日以降、下痢がありました。発熱も続きました。
当時の記録からわかること
全身のむくみがありました。
心臓は軽度腫大し、心外膜に点状出血が見られました。
左肺下面、右肺前面に胸膜との癒着が見られました。両肺はうっ血していました。右肺には上葉下部に結核巣がありました。
腎臓の腎盂に点状出血が見られました。
精巣は委縮していました。
舌は白苔に覆われており、扁桃腺は腫れていました。のどには軽度のうっ血が見られました。
病理組織標本からわかること
心臓や大腸、肝臓の標本は死後の変化が強く、評価が困難です。
まとめ
骨髄の標本は残っていないため確認できませんが、点状出血などの出血傾向があることから、放射線による造血細胞の減少が疑われます。
また、精巣の萎縮も放射線の影響と思われます。
肺ではうっ血水腫がみられ、全身のむくみもあることから、循環不全の状態と考えられます。
右肺の非活動性の結核巣と両側胸膜の線維性癒着は被爆前からあると思われます。
標本から直接的な死因を特定することはできませんが、傷口の感染や発熱があったとの記録から、敗血症であった可能性があります。
- 作成日
- 最終更新日
- 2022/10/24