No.A068
年齢 | 18 歳 |
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性別 | 男 |
死亡年月日 | 1945/09/11 |
剖検年月日 | 1945/09/11 |
被爆距離 | 900 m |
被爆時地名 | 不明 |
出典:国土地理院の空中写真(1945-1950撮影)を加工して掲載
被爆状況
屋内で被爆しました。
胸部に軽い打撲傷を負いました。
症状の経過
8月6日から8日まで、、全身倦怠感とひどい下痢がありましたが、死傷者の救護にあたりました。
8月28日に脱毛、9月1日に40℃の発熱がありました。
9月2日、口内炎、嚥下痛が出現し、扁桃腺が腫れました。皮膚の点状出血、出血性の下痢もみられました。
当時の記録からわかること
栄養状態は不良でした。
皮膚には黄疸がありました。やけどはありませんでした。
左肺と、右肺の下葉は軽度うっ血していました。
脾臓では、リンパ濾胞も脾柱も明瞭に認められました。
胃や大腸には様々な大きさの潰瘍がみられ、周囲には出血を伴っていました。直腸の粘膜は壊死性で出血性でした。
扁桃腺は腫れ、両側とも壊死していました。咽頭や喉頭の粘膜の一部にも壊死が見られました。
左の精巣は親指大で、萎縮していました。
病理組織標本からわかること
大腸の粘膜は壊死しており、細菌塊と好中球浸潤を伴っています。
精巣の精細管内に精子は残存しています。
甲状腺の濾胞は小型で均一で、コロイドの減少はありません。
リンパ節の類洞は広く、多数の細胞が見られますが、リンパ球は減少しています。
まとめ
骨髄における造血組織は放射線のため低形成ですが、骨髄球系を中心に巨核球などの再生所見を伴っています。しかし全身皮膚には点状出血を認めることなどから、血小板の回復にまでは至っていなかったと思われます。
感染しやすい状態もあったと思われ、扁桃腺を中心に口内に壊死性変化があります。また、胃、大腸には多発性の壊死性潰瘍が認められます。
肺では、多巣性に軽度の急性気管支肺炎がみられ、広く急性うっ血水腫を伴います。菌血症などによる急性循環不全(敗血症性ショック)が存在した可能性が考えられます。
精巣における精子低形成や脱毛は放射線の影響と思われます。
- 作成日
- 最終更新日
- 2022/02/28