No.A059
年齢 | 24 歳 |
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性別 | 女 |
死亡年月日 | 1945/10/25 |
剖検年月日 | 1945/10/25 |
被爆距離 | 100 m |
被爆時地名 | 不明 |
出典:国土地理院の空中写真(1945-1950撮影)を加工して掲載
被爆状況
日本家屋内で睡眠中に被爆しました。
家屋の崩壊で種々の傷を負ったようですが、詳細はわかっていません。
※当時の記録に「100~200meter(not exactly?)」と記載されています。
症状の経過
被爆後より倦怠感と食欲不振がありました。
9月1日に歯肉炎、咽頭炎、39.7℃の発熱が出現し、高熱は死亡時まで続きました。
日付は不明ですが、喀血や下痢もありました。
10月23日の検査では、赤血球は340万/μl、白血球は12900/μlと軽度の高値でした。
当時の記録からわかること
栄養状態は普通でした。頚部のリンパ節が腫れていました。皮膚に出血はありませんでした。
両肺とも大きく、左肺には炭粉沈着を認めました。肺上葉には散在性に結節が見られました。肺門部のリンパ節は腫れていました。
卵管は左右ともにいくつかの結節がみられました。
胃は拡張しており、潰瘍はありませんでした。大腸には、いくつかの円形の潰瘍が認められました。
病理組織標本からわかること
脾臓ではリンパ濾胞は消失しており、多くの形質細胞が見られます。脾門部のリンパ節には壊死巣と、結核病変が認められます。
子宮内膜にも結核病変が見られます。
まとめ
肺にはフィブリンの析出と壊死を伴う炎症がみられ、結核症による乾酪性肺炎と診断されます。結核結節は小腸、子宮内膜、卵管などの標本で確認できます。
その他、当時の記録によると、腹膜、大腸、リンパ節にも結核病変があり、全身性の結核症が存在したと推測されます。
直接死因としては、結核性の乾酪性肺炎による呼吸不全と考えられます。
骨髄の標本はありませんでしたが、血球数が正常であったこと、出血症状を認めないことから、放射線の影響からは回復傾向であったと考えられます。
- 作成日
- 最終更新日
- 2022/01/31