No.A052
年齢 | 68 歳 |
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性別 | 女 |
死亡年月日 | 1945/10/07 |
剖検年月日 | 1945/10/07 |
被爆距離 | 不明 |
被爆時地名 | 不明 |
出典:国土地理院の空中写真(1945-1950撮影)を加工して掲載
被爆状況
記録が残っていません
症状の経過
記録が残っていません
当時の記録からわかること
栄養状態は著しく不良でした。
III度のやけどが、顔面、頚部、上肢、両足背にみられました。一部は治癒していましが、一部は大量の滲出液が出ている状態でした。皮膚に点状出血はみられませんでした。
左の第7、第8肋骨に骨折があり、同部の胸膜に血腫ができていました。
脾臓はうっ血していました。濾胞ははっきりしませんでした。
腎臓の粘膜にはうっ血と、点状出血が見られました。
右大腿骨の骨髄は上半分は赤色髄でしたが、下方にいくにつれ、脂肪髄となっていました。
病理組織標本からわかること
大腸は死後変化が強く細部の観察は困難ですが、潰瘍形成はありません。
甲状腺は繊維性隔壁により分葉化しています。
脾臓のリンパ濾胞は小型化しており、リンパ球産生は減少しています。
リンパ節ではリンパ濾胞の小型化、リンパ球産生の低下が認められます。
まとめ
肝にはきわめて高度な脂肪変性が認められ、おそらく栄養障害によると考えられます。
骨髄の標本は残っていないため確認はできませんが、点状出血と胸膜の血腫などから巨核球の減少が疑われます。
脾臓とリンパ節でのリンパ濾胞の小型化もみられることから、放射線による影響が造血系に出ているものと思われます。
やけどの部分の皮膚には壊死性変化が残存し、これによって腎障害が生じたと推測されます。
甲状腺の分葉化や心筋のリポフステンの沈着は加齢によると思われます。
- 作成日
- 最終更新日
- 2022/01/31