No.A043
年齢 | 16 歳 |
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性別 | 女 |
死亡年月日 | 1945/09/05 |
剖検年月日 | 1945/09/05 |
被爆距離 | 1000 m |
被爆時地名 | 上流川町(広島女学院) |
出典:国土地理院の空中写真(1945-1950撮影)を加工して掲載
被爆状況
広島女学院の入口に立っている時に被爆しました。
閃光を受け、同時に意識を失いました。ガラスの破片で、左耳の後、左肘関節、小指、右足裏に傷を負いました。
症状の経過
傷は徐々によくなり、その他に症状はありませんでした。
8月30日、高熱と悪寒、鼻血が出現、嘔吐と下痢も生じました。
8月31日に岩国海軍病院へ入院しました。脱毛も見られました。
当時の記録からわかること
栄養状態は良好でした。右上肢のあちこちに、出血斑がみられました。左腕には潰瘍ができていました。
肺の表面には少数の点状出血がみられました。
心臓では、心外膜や右心室の心筋内に少数の小さな出血がありました。
胃には小さな出血がありましたが、潰瘍はありませんでした。小腸と大腸では多数の点状出血がいたるところにみられました。
卵巣と卵管の表面には少数の小さな出血がありました。
病理組織標本からわかること
大腸の粘膜に、軽度の浮腫と軽度の慢性炎症細胞浸潤が認められます。
脾臓ではリンパ球が顕著に減少しています。洞内腔の拡張と内皮細胞の増殖が見られます。
まとめ
骨髄における造血細胞の減少は高度です。血小板減少による出血傾向として、全身皮膚や消化管粘膜などに多数の点状出血を認めます。これは放射線障害と思われます。
脾臓とリンパ節における顕著なリンパ球産生低下も放射線による影響と思われます。
直接的な死因となるような重大な臓器の病変は見られませんが、骨髄の造血機能低下から、感染症に弱い状態にあったと思われます。左腕の潰瘍や発熱の記録から敗血症性ショックが疑われます。
- 作成日
- 最終更新日
- 2022/03/31