No.A042
年齢 | 49 歳 |
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性別 | 男 |
死亡年月日 | 1945/10/08 |
剖検年月日 | 1945/10/09 |
被爆距離 | 2000 m |
被爆時地名 | 福島町 |
出典:国土地理院の空中写真(1945-1950撮影)を加工して掲載
被爆状況
屋外にいて、背中、首、右足、右手にやけどを負いました。
症状の経過
経過についての記録は残っていません。
当時の記録からわかること
栄養状態は不良でした。首、足に赤い瘢痕がありました。
両側とも、胸膜の間に癒着がありました。左肺の肺尖部とその周囲に多数の硬い粟粒大の結節があり、それらは瘢痕で囲まれていました。肺門リンパ節は腫大していました。右肺では、上葉と中葉に多数の黄色の乾酪壊死(結核病変)がみられました。
大腸の粘膜は赤色であり、3cm大のいくつかの不整形の潰瘍がみられました。
骨髄は赤色髄でした。
病理組織標本からわかること
腎臓の尿細管上皮では死後変化が高度ですが、糸球体には大きな異常はありません。
精巣の精細管内に、精細胞はみられますが精子は見られません。
脾臓の構造は比較的保たれています。
骨髄は死後の変化が強く、状態があまりよくありませんが、細胞が密に集まっている部分があります。
まとめ
両側の肺において、上葉中心に活動性の肺結核症が認められます。両側胸膜に線維性癒着があることから、陳旧性の結核病巣が、被爆により全身状態が悪化したため再燃したものと思われ、これが死亡の直接の原因と考えられます。
骨髄は脂肪髄が広く、残存する造血細胞の種類も死後変化のために判断が困難です。
放射線の影響としては、皮膚の毛嚢の萎縮による脱毛、精巣での精子形成の低下があげられます。
- 作成日
- 最終更新日
- 2022/01/31