No.A038
年齢 | 14 歳 |
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性別 | 女 |
死亡年月日 | 1945/08/23 |
剖検年月日 | 1945/08/24 |
被爆距離 | 1800 m |
被爆時地名 | 不明 |
出典:国土地理院の空中写真(1945-1950撮影)を加工して掲載
被爆状況
顔面、頚部の左半分と両前腕および左下肢にやけどを負いました。
症状の経過
8月12日に西条の傷痍軍人広島療養所へ入院しました。入院時より38℃前後の発熱が続き、8月22日には40℃を超えました。
8月23日、死亡日の血液検査では、赤血球396万/μl、白血球6300/μlでした。
当時の記録からわかること
皮膚には点状出血がみられました。やけどが顔の左側、両腕、左下肢にみられました。
胸膜に大きな変化はありませんでした。
心外膜に点状出血が見られました。
両側の腎臓の被膜下に点状出血が見られました。
舌や扁桃腺には肉眼的な変化はありませんでした。
脳の硬膜に軽度の混濁がありました。
病理組織標本からわかること
心筋細胞には核の多形性が見られます。
肺では肺胞内腔は保たれ、滲出物の貯留や出血はありません。
肝臓では小葉中心性の肝細胞萎縮が見られます。グリソン鞘にはリンパ球が軽度浸潤しています。
甲状腺の濾胞には軽度の大小不同が認められます。
扁桃腺には細菌の塊を伴う上皮の壊死が認められます。上皮下のリンパ球は減少しています。
まとめ
骨髄では、造血細胞の高度な減少があると思われ、血小板の減少による皮膚などの点状出血や、好中球減少に伴う免疫力低下状態による扁桃腺の壊死がみられます。この骨髄の変化は、放射線障害と思われます。
脾臓やリンパ節でもリンパ球産生の低下がみられ、放射線障害と思われます。
標本から直接的な死因となりうる重大な病変は見出せませんが、高熱が続いていたこと、扁桃腺には細菌の塊が見られたことなどから敗血症であったことが疑われます。
- 作成日
- 最終更新日
- 2022/10/24