No.A024
年齢 | 16 歳 |
---|---|
性別 | 女 |
死亡年月日 | 1945/08/30 |
剖検年月日 | 1945/08/31 |
被爆距離 | 600 m |
被爆時地名 | 下中町(広島中央電話局) |
出典:国土地理院の空中写真(1945-1950撮影)を加工して掲載
被爆状況
広島中央電話局(コンクリート造)の事務所内で被爆しました。
両腕にガラスの破片で切り傷を負いました。
症状の経過
被爆後すぐにはきけがあり、嘔吐しました。2日間全身倦怠感があり、食欲不振は死亡日まで続きました。
8月20日に脱毛が始まり、8月28日には上腕と胸部に点状出血が出現しました。
8月29日には水様の下痢が始まりました。
8月28日の検査所見では、赤血球は372万/μl、白血球は300/μlでした。
当時の記録からわかること
栄養状態は良好でした。前頭部と側頭部に頭髪の脱毛がありました。前頭部と首、下肢と腹部の皮膚に点状出血が見られました。
腹腔には約 40mlの出血性で軽度混濁した腹水がたまっていました。
右側の胸腔には約30mlの混濁した胸水が、左側では約50mlの血性胸水がたまっていました。
心外膜に2つの点状出血が見られました。
病理組織標本からわかること
標本は、死後の時間が長いため変化が強く、観察が困難です。
卵管の上皮に大きな異常はありません。
まとめ
放射線による影響として、骨髄では高度な造血細胞の減少があると推測されます。血小板の減少による出血が広範囲に認められます。
遠位尿細管の所見は急性循環不全(血圧低下により末梢の血液循環が悪くなり臓器の障害がおこる、いわゆるショック状態のこと)の存在を示唆します。骨髄の状態から、感染しやすい状態であったと考えられ、敗血症性ショックの可能性があります。胸水、腹水、心嚢水の貯留は急性循環不全によると推測されます。
- 作成日
- 最終更新日
- 2022/01/31