No.A013
年齢 | 39 歳 |
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性別 | 男 |
死亡年月日 | 1945/08/16 |
剖検年月日 | 1945/08/16 |
被爆距離 | 300 m |
被爆時地名 | 大手町(広島銀行集会所) |
出典:国土地理院の空中写真(1945-1950撮影)を加工して掲載
被爆状況
海軍の軍人でした。海軍の事務所として使われていた広島銀行集会所(コンクリート造)で被爆しました。
症状の経過
前頭部にIII度のやけどを負いました。
8月16日に岩国海軍病院へ入院しました。その時点で膿疱ができていました。入院時、下痢や嘔吐はありませんでしたが、呼吸困難があり、その日のうちに死亡しました。
当時の記録からわかること
栄養状態は良好でした。顔はむくんでおり、眼瞼から額にかけてIII度のやけどがありました。
右肺全体に多数の小さな出血がありました。肺組織には多くの血液が含まれていました。
肝臓表面には微小な点状出血が多数みられました。小葉構造は明瞭でした。
胃粘膜には多数の点状出血が見られました。横行結腸と下行結腸と回盲部には多数の出血性のびらんが認められました。大腸全体の粘膜は厚く、偽膜様変化が見られました。
腎臓の表面には点状出血が見られました。実質内にも小さな出血が散在していました。
病理組織標本からわかること
標本は残っていません。また、当時の記録にも組織所見の記載はありませんでした。
まとめ
組織標本はなく、当時の記録にも組織所見がないので、肉眼所見の記載のみをもとにして推測しました。
皮膚や肺、胃粘膜に点状出血あるいは小出血がみられることから、骨髄での造血細胞の減少があると思われます。これは放射線の影響と思われます。
盲腸から横行結腸にかけて多数の出血性びらんがあり、大腸全体にも偽膜性腸炎の所見がみられます。両肺には中等度の急性うっ血水腫がみられます。
記録のみからは直接的な死因を特定することはできません。
- 作成日
- 最終更新日
- 2022/03/31