No.A128
年齢 | 59 歳 |
---|---|
性別 | 女 |
死亡年月日 | 1945/09/24 |
剖検年月日 | 1945/09/25 |
被爆距離 | 1300 m |
被爆時地名 | 宝町(竹屋国民学校付近) |
出典:国土地理院の空中写真(1945-1950撮影)を加工して掲載
被爆状況
自宅の屋内で被爆しました。
症状の経過
被爆でけがはせず、しばらくは症状もありませんでした。
8月25日に、斑状出血、点状出血、歯肉炎及び発熱が出現しました。
検査日はわかりませんが、赤血球194万/μl、白血球1,900/μlと、いずれも軽度低値でした。
当時の記録からわかること
頭髪の脱毛はありませんでした。多数の古い点状出血が、腹壁と両上肢にみられました。
口角には深い潰瘍がみられ、これは口内の粘膜にも拡がり、歯肉にも達していました。
心外膜には点状出血が散在していました。左肺下葉に少数の点状出血が見られました。
胃内には3匹の回虫がいました。胃の粘膜には数個の点状出血がありました。
両方の腎臓に多数の点状出血と、いくつかの不整形の梗塞がありました。
膀胱では、強いうっ血と出血が見られました。
左卵管と左卵巣に点状出血がありました。
病理組織標本からわかること
標本は残っていません。
また、当時の記録にも組織所見が記載されていませんでした。
まとめ
標本が残っていないため、当時の肉眼所見の記録のみから推測しました。
諸臓器・組織の粘膜に点状出血がみられることから、巨核球の減少が骨髄に生じていることが推測されます。また、口角部の潰瘍や歯肉炎があることから、骨髄では骨髄球系細胞の成熟抑制があると思われ、その結果好中球が減少し、感染しやすい状態であったと考えられます。
両腎にみられる多発性梗塞の原因は不明です。
直接死因として重要な病変が何であるかは断定できません。
- 作成日
- 最終更新日
- 2022/01/31