No.A127
年齢 | 27 歳 |
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性別 | 女 |
死亡年月日 | 1945/11/04 |
剖検年月日 | 1945/11/06 |
被爆距離 | 1000 m |
被爆時地名 | 不明 |
出典:国土地理院の空中写真(1945-1950撮影)を加工して掲載
被爆状況
日本家屋の中で被爆しました.
症状の経過
被爆後、食欲不振と性器出血が始まりました。
8月9日には出血性の下痢や脱毛が出現しました。
9月3日の血液検査では白血球数が925/μlと低値でしたが、9月12日には4500/μlと回復、10月10日の検査では14700/μlとやや高値でした。
肺に膿がたまったことが死亡の原因と記録されています。
当時の記録からわかること
左の胸には濁った胸水がたまっていました。また、左の肺は後面が癒着しており、下部は壊死していました。左肺に無気肺が認められますが、膿瘍の所見はありません。右の肺は上部に肺炎と思われる病変がいくつか見られました。
胃に回虫がいました。
骨髄では赤芽球が減少し、骨髄芽球、骨髄球が増えていました。
病理組織標本からわかること
胃、腸管は死後の自己融解が強く所見が観察できません。
卵巣はかなり委縮しており、卵胞が認められません。
皮膚では毛根の萎縮が認められます。
まとめ
当時の記録からは左胸の膿胸が死因とされていますが、左肺の標本にははっきりとした膿胸は見られません。
一方で、筋肉の標本に筋の崩壊と炎症細胞が見られることから、筋炎があったと考えられます。
腎臓の標本からは急性腎不全が疑われ、筋炎による挫滅症候群(クラッシュシンドローム)が死因であった可能性もあります。
当時の記録には解剖日が11/4と記載されているところと、11/6と記載されているところがありました。標本の状態から11/6が正しいと考えられます。
- 作成日
- 最終更新日
- 2022/01/31