No.A126
年齢 | 43 歳 |
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性別 | 男 |
死亡年月日 | 1945/08/28 |
剖検年月日 | 1945/08/29 |
被爆距離 | 1000 m |
被爆時地名 | 不明 |
出典:国土地理院の空中写真(1945-1950撮影)を加工して掲載
被爆状況
日本家屋の屋内で被爆しました。
頭部と上肢に裂傷を負いました。やけどはありませんでした。
症状の経過
8月9日から微熱が続き、強い倦怠感を感じていました。
8月21日西条の傷痍軍人広島療養所へ入院しました。39℃~40℃の発熱が続きました。
8月21日の血液検査では赤血球315万/μl、白血球420/μl、8月27日は赤血球252万/μl、白血球数は625/μl、と著しい低値でした。
当時の記録からわかること
肺はうっ血していました。
心外膜には点状出血が見られました。
両腎盂に点状出血や出血が見られました。
胃には出血はありませんでした。
咽頭から出血していました。
病理組織標本からわかること
肝臓では小葉全体に肝細胞の萎縮が認められます。
腎臓の糸球体は小型で、間質に軽度の線維化が見られます。
脾臓のリンパ濾胞は萎縮しています。類洞の拡張と細網細胞の増加が見られます。
リンパ節の濾胞部分ではリンパ球が増加しています。
まとめ
骨髄では、造血組織の高度な減少があり、血小板減少による点状出血を心外膜などに認めます。感染しやすい状態にあったことを示唆する組織所見はありませんが、高熱が続いていたとの記載があります。骨髄の変化と脾臓およびリンパ節におけるリンパ球産生の低下は、放射線障害と思われます。
標本からは直接的な死因となりうる重大な病変ははっきりしませんが、記録に残る白血球減少や高熱などから、敗血症などが疑われます。
- 作成日
- 最終更新日
- 2022/10/24