No.A108
年齢 | 13 歳 |
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性別 | 男 |
死亡年月日 | 1945/08/09 |
剖検年月日 | 1945/08/10 |
被爆距離 | 1300 m |
被爆時地名 | 国泰寺 |
出典:国土地理院の空中写真(1945-1950撮影)を加工して掲載
被爆状況
爆心地から約1.3kmの屋外で立っているときに被爆しました。
症状の経過
顔面、首、後頭部、四肢の背中側にやけどを負いました。似島に搬送されました。
当時の記録からわかること
発育はよく、栄養状態は良好でした。多数のやけどが、頭部、顔、背部、手足にみられました。右胸腔には約20mlの血性の胸水が認められました。左側にはありませんでした。肺の大きさと形は正常であり、うっ血は顕著でしたが、その他に変化はありませんでした。脾臓のリンパ濾胞は明瞭でした。肝臓は軽度腫れて大きくなっていました。腸管内には2匹の回虫がいました。
病理組織標本からわかること
脾臓では、類洞の拡張と細網細胞の増殖が見られます。
骨髄は脂肪髄が広く、造血細胞は減少しています。
まとめ
標本のある主要臓器(肺、肝臓、腎臓)に大きな病変は見出されません。
骨髄の標本からは造血細胞の萎縮が疑われますが、それにもとづく出血傾向や感染が起こりやすい状態にあったかどうかは明らかではありません。脾臓や胸腺の所見からもリンパ組織の萎縮は高度ではないと思われます。
被爆後数日であり、放射線障害はまだ明らかになっていない時期と考えられます。広範囲のやけどが直接の死因になったと思われます。
- 作成日
- 最終更新日
- 2022/01/31