No.A105
年齢 | 33 歳 |
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性別 | 男 |
死亡年月日 | 1945/11/12 |
剖検年月日 | 1945/11/13 |
被爆距離 | 1000 m |
被爆時地名 | 基町(陸軍幼年学校) |
出典:国土地理院の空中写真(1945-1950撮影)を加工して掲載
被爆状況
陸軍幼年学校で被爆しました。
屋内にいましたがガラス片により顔、背中、胸にけがをしました。
症状の経過
9月下旬より発熱、歯肉からの出血、鼻血、下痢が始まりました。これらは徐々に悪化し、11月10日に岡山陸軍病院に入院しました。入院時、栄養不良状態であり、体温は36.7℃でした。
11月11日の血液検査では、白血球数6700/μl、赤血球数485万/μlでした。
11月12日、脈が速く、呼吸困難を訴え、意識不明となりこの日の夕方に亡くなりました。
当時の記録からわかること
肺は両肺とも上部で胸膜と癒着していました。大きな壊死巣がありました。
心臓は拡張しており、脂肪変性が見られました。心外膜に点状出血はありませんでした。
肝臓の割面では小葉は明瞭で、小葉中心に脂肪化が見られました。
精巣はやや委縮しており、通常より硬めでした。
脳は軽度のむくみがありましたが、出血やその他の病変はありませんでした。
病理組織標本からわかること
精巣は精細管が委縮しており、精子は形成されていません。
脾臓ではリンパ濾胞が消失しています。
まとめ
両肺に広範囲に肺炎がみられます。一部で器質化もみられ、比較的長期に肺炎が続いていたものと考えられます。呼吸不全による変化として、肝臓に高度の小葉中心性の変性・壊死がみられます。
骨髄やリンパ節では造血細胞の減少は顕著ではなく、放射線の影響からは回復してきていると思われます。
放射線の影響として、精巣の萎縮と精子形成の低下が顕著です。
直接死因は肺炎による呼吸不全と思われます。
- 作成日
- 最終更新日
- 2022/04/21